地震や台風などの災害で被災した場合の生活再建のための支援制度

日本は地震や津波、台風、洪水、火山噴火などの自然災害が多い国です。
そのような災害で被災して、住宅や全財産を失ってしまうリスクは誰にでも起こりうることです。
そうした被災に対して、国民の相互扶助の観点から生活再建のための制度が設けられています。

一定規模以上の災害に遭って住宅の全壊や半壊、家族の死亡などがあった場合には、保険に入っていなくても次のような支援を受けられます。

 

被災者生活再建支援金
(基礎支援金:最大100万円。加算支援金:最大200万円)

災害弔慰金・災害障害見舞金
(生計維持者死亡時:500万円。それ以外の者死亡時:250万円)

住宅の応急修理制度
(1世帯につき約60万円)

被災ローン減免制度(自然災害債務整理ガイドライン)
(自己破産扱いにはならない債務整理)

公共料金の減免制度
(税金、携帯電話・電気・ガス・水道などの料金の支払い猶予)

 

※災害で運転免許証・健康保険証・実印などを紛失しても再発行が可能です。
※災害で不動産の権利証を紛失しても、それで所有権を失うことはありません。
※災害で生命保険等の証書を紛失して加入保険が不明な場合も保険協会で確認可能です。

 

これらの支援制度は期限内に自分から申請をする必要があるため、その手続をしないと受給ができません。
災害の直後は市役所や金融機関の窓口も被災して混乱している場合が多く、こうした支援制度の告知や申請の受付が始まっていないこともありますが、業務が再開すれば手続が可能になります。(申請から受給までは3ヶ月程度かかるようです)。

支援制度の詳細

自然災害で被災した場合の支援制度と申請手続について、以下に記載します。

(1)罹災証明書
被災時に真っ先に行うべき手続です。
罹災証明書は、災害によって住宅等の被害があったことを自治体より証明を受ける書類であって、様々な支援金や減免制度を受ける際に必要となります。(災害対策基本法90条の2第1項)
市役所職員が現地確認をするケースもあれば、災害規模が大きい場合には携帯端末での撮影画像の提示で申請が受付されるケースもあります。
具体的な手続は最寄りの市役所窓口にお問い合わせ下さい。

 

(2)被災者生活再建支援金
自然災害によって10世帯以上の住宅全壊被害が発生した市町村等に居住する被災者には、被災者生活再建支援法に基づいた支援金(基礎支援金と加算支援金)が支給されます。

 

被災者生活支援法の概要|内閣府

 

基礎支援金は、住宅が全壊した場合には100万円、半壊の場合には50万円が支給されます。
加算支援金は、新規に住宅を建築・購入する場合は200万円、補修する場合は100万円、(公営住宅以外の)賃貸住宅の補修には50万円が支給されます。
なお、基礎支援金については用途制限が無いために自由に使うことができます。

申請期間は、基礎支援金については災害発生日から13月以内、加算支援金については災害発生日から37月以内です。

 

(3)災害弔慰金・災害障害見舞金
自然災害によって5世帯以上が滅失する被害が発生した市町村等に居住する被災者には、災害弔慰金の支給等に関する法律に基づいた支援金(災害弔慰金・災害障害見舞金)が支給されます。

 

災害弔慰金の支給等に関する法律の概要|内閣府

 

災害弔慰金については以下のとおりです。

 

<受給遺族>
ア.配偶者、子、父母、孫、祖父母
イ.死亡した者の死亡当時における兄弟姉妹
(死亡した者の死亡当時その者と同居し、又は生計を同じくしていた者に限る。)

 

<支給額>
ア.生計維持者が死亡した場合500万円
イ.その他の者が死亡した場合250万円

 

災害障害見舞金については以下のとおりです。

 

<受給対象者>
災害により重度の障害(両眼失明、要常時介護、両上肢ひじ関節以上切断等)を受けた者

 

<支給額>
ア.生計維持者250万円
イ.その他の者125万円

 

(4)住宅の応急修理制度(災害救助法)
自然災害によって一定規模以上の被害(例 人口5,000人未満:住家全壊30世帯以上)があった市町村に居住し、住宅の半壊以上の村外があった場合に応急修理の費用の一部の支給を受けることができます(最大で約60万円弱)。

 

住宅の応急修理(災害救助法)|内閣府

 

この応急修理制度は、所得要件や修繕の範囲などが細かく指定されているため、申請の際は市役所窓口でよく相談をする必要があります。
また、この制度を利用すると仮設住宅の入居要件から外れることがあるので注意が必要です。

 

(5)被災ローン減免制度
住宅ローンや個人事業ローンの返済が終わらない段階で被災し、住宅・工場が壊れてローンの返済義務だけが残るケースで、自己破産扱いにはならない形でローンの減免を行い債務整理する制度があります。(収入などの条件があり)。
この制度の手続はローン契約をしている金融機関の窓口に問い合わせて下さい。

 

自然災害による被災者の債務整理|一般社団法人自然災害被災者債務整理ガイドライン運営機関

 

 

 

以上のように、自然災害で被災した場合には自治体から金銭支援を受けられる制度や各種の減免制度があります。
また、公共料金の支払いについては、市役所や金融機関の窓口に申し出すれば数ヶ月間の支払い猶予の措置が受けられる場合もあります。

住宅や財産を失うと茫然自失となってしまうものですが、これらの制度を活用して生活再建を図って下さい。

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