消費者契約法改正の対策として訪問販売業者のためのチェックリストの用意を

事業者と消費者の間の取引についてルールを定める消費者契約法は、近年に改正が相次いでいます。
その改正事項は訪問販売や電話勧誘販売のアウトバウンド営業を行う販売事業者にとっては大きな影響が生じる内容も多くなっています。

最近では2017年6月3日と2019年6月15日に消費者契約法の改正事項が施行され、今後も改正が続いていく見通しです。

 

このように改正が続くのは、高齢者の契約トラブル増加、インターネット取引の進化、民法改正による成年年齢の引き下げ(20歳から18歳へ)など、消費者契約に関する環境変化が激しいため、それに対応するために新たなルールが追加されているからです。

2019年6月15日施行の消費者契約法の改正事項の概要は以下のとおりです。

 

取消権が追加される困惑類型
・願望の実現に抱く過大な不安をあおる告知(4条第3項第3号)
・恋愛感情等の好意の感情に乗じた人間関係の濫用(4条第3項第4号)
・加齢又は心身の故障による判断力の低下を利用した不安をあおる告知(4条第3項第5号)
・霊感等合理的に実証することが困難な特別な能力による知見を用いた告知(4条第3項第6号)
・契約締結前に債務の内容を実施し、原状回復を困難にすること(4条第3項第7号)
・契約締結前に事業活動が特に実施したものである旨及び損失の補償を請求(4条第3項第8号)
・不利益事実の不告知(4条第2項)について要件緩和(故意の要件について、重過失を追加)

 

無効となる不当な契約条項として追加されるもの
・事業者が自分の責任を自ら決める条項(8条及び第8条の2の各号の改正)
・消費者の後見開始等を理由とする解除条項(8条の3)

 

事業者の努力義務として追加されるもの
・明確で平易な契約条項作成と適合性原則(3条第1項)

 

以上のように多くの改正がされているのですが、訪問販売や電話勧誘販売にとっては若者や高齢者に対して「不安をあおる告知」をした場合に取消権が認められたことは大きく影響するものと思われます。

例えば、若者に対して「このままでは就職できない」「このままでは結婚できない」など言ったり、高齢者に対して「年金収入だけでは飢え死にする」「このままでは認知症になる」と言うなど、不安をあおりながら勧誘するとそれが契約取消の対象となります。

販売事業者としては、そのような勧誘をしないように社員に徹底する必要があります。

また、販売事業者が不法な勧誘をしないように注意していた場合でも、消費者が返金目的で「不安をあおるような勧誘をされた」と証言をするようなケースでは、勧誘方法が適正であることの事実証明が求められます。

 

そうした適正な勧誘の事実証明や社員に誠実な勧誘をするような意識付けのためには「お客様アンケート(消費者契約法のチェックリスト)」を実施するという対策が有効になります。

「お客様アンケート」には、特定商取引法と消費者契約法の禁止事項を掲載して、そのような不法な勧誘が無かったことを署名付きで回答してもらうと、事後の返金トラブルをある程度は予防できる効果が見込めるようになります。

当事務所では、以下のリンク先ウェブページで「消費者契約法の改正事項についての解説書(PDF)」と「お客様アンケート雛形(Word)」をセットにしたファイルを販売しております。

 

訪問販売・電話勧誘販売のための消費者契約法対応の解説書とお客様アンケート雛形

 

訪問販売や電話勧誘販売の事業者の方は、コンプライアンス徹底と契約トラブル予防のために上記リンク先をご参照下さい。

 

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