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<不当請求(架空債権請求詐欺)とは?>

携帯電話やインターネットの匿名性を悪用した犯罪行為が続出しています。
一時は携帯電話へのワン切りが横行し、社会問題になりました。
ワン切りは法規制や取締りの強化に伴って、下火となりましたが、現在は不当請求(架空債権請求詐欺)の被害が増加しています。
不当請求とは、アダルトサイトや出会い系サイトのコンテンツ利用料を、電話やメール・封書などで請求してくる詐欺行為です。
実際には全く利用したことの無い費用なのに、記憶の曖昧さにつけ込んだり、執拗な脅迫によって支払ってしまうケースが多いです。
特に実際に利用したことのあるサイト名を語られると、不安に駆られて振り込みしてしまうようです。
個人のネット利用履歴が、名簿業者に流出したり、詐欺業者間で流通している事が推測され、個人情報保護の強化が急務だと思います。
もちろん、不当請求を行う詐欺業者に関しては、徹底的な取り締まりを行って、このような犯罪行為は根絶しなくてはいけません。

<当事務所に寄せられた不当請求事例>

2003年の9月3日から同年10月26日までの間に、当事務所に寄せられた不当請求の相談は50件でした。
その相談内容から、この問題の深刻さを探ってみます。
岐阜県の個人事務所ですら、これだけの相談件数が入るので、消費者センターや警察署に持ち込まれる相談は相当な数だと思います。
以下の資料のパーセンテージは、50件の相談内容を基礎にしております。


・相談種別

メールによる詐欺請求       12%
封書や葉書による詐欺請求     14%
電話による詐欺請求        48%
有料サイトに関する契約トラブル  26%

メールによる「最終通告」の詐欺請求が手口としては最も多いと思われます。
大抵の方が受信してすぐに破棄している現状から考えれば、その実数は天文学的数字になるかもしれません。
封書や葉書で自宅に請求書が送られてくると、多くの方が慌てるようです。
しかし、より切迫感の強い相談としては、やはり直接電話で請求があった場合です。
不当な請求とわかっていても、執拗な脅迫が続くと精神的に追い込まれて、相談されるようです。
それから見落とせないのが有料サイトに関するトラブルです。
アダルトサイトや出会い系サイトに多いのですが、無料と錯覚させて利用を促し、法外な遅延料を含めた請求を行う業者が横行しています。
こうしたサイトの利用履歴を基に、複数の債権業者から請求を受ける事例も多く、不当な延滞料請求のためにサイト運営をしている実態も垣間見えます。


・被害数

全相談中の支払い被害     16%
平均的な被害額      2万円〜5万円
最高被害金額        約400万円

寄せられる相談は、不当請求に関して支払い義務があるのかどうかという問い合わせが圧倒的です。
しかし、中には支払ってしまった金額を回収できないかという問い合わせもあります。
不当請求を行う業者は、携帯電話と架空口座のみしか痕跡を残さないため、警察も検挙には手を焼いているようです。
仮に逮捕されても、業者の財産は隠蔽されて回収は困難です。
多額の被害者の場合は、複数の不法債権回収業者から、継続的に恐喝されています。
暴力団名を語られ、職場への電話で度重なる恫喝を受け、ノイローゼ気味になって正常な判断が出来なくなるようです。
大抵は被害金額も数万円程度のため、警察へ被害届が出されることも無く、表面化しない被害も相当数に上るでしょう。


・地域別

北海道  2%
東北  10%
関東  48%
中部  10%
関西  12%
中国   6%
四国   4%
九州   8%

当事務所は岐阜県に所在するため、中部地方からの相談が最も多くなっていいはずですが、実際は圧倒的に関東地方からの相談が多いです。
インターネットの利用率の問題もあるかもしれませんが、それでも関東地方からの相談数は異常です。
これは詐欺を行う業者も、首都圏で多く暗躍している事の証左かもしれません。
相談者の年齢も中学生から60代まで幅広く分布しています。
特に未成年に関しては、男女ともに有料サイトの課金に関するトラブル相談が多いです。


<傾向と対策>

これらの不当請求詐欺は、被害金額としては比較的小さいため、泣き寝入りしている事例が数多い状況です。
業者も携帯電話やインターネットの匿名性を最大限に利用しているため、警察も検挙には手を焼いています。
法律家に被害金額の回収を依頼しようとしても、相手の所在は不明で捜査権もなく、手の打ちようがありません。
市民としては、架空債権請求詐欺のページで紹介しているような法律の規定を知っておき、不当請求に屈しない啓蒙活動を続けるべきです。
警察にはこの問題に対する取締りを厳しくして、一刻も早く多くの詐欺業者を検挙して頂きたいです。
法制では、こうした犯罪の特別法を作るのもいいですが、詐欺に活用される個人情報の保護について対策をするべきです。
その意味では個人情報保護法には注目しております。

当事務所としては、悩んでみえる相談者の方には出来るだけ丁寧な回答を心がけています。
しかし、この不当請求の相談に関しては、ほとんどが予防的なアドバイスに終始するため、正直なところ事務所運営に支障が出るケースもあります。
(よって、不当請求に関するメールや電話問い合わせには返信しないようにしました。
この問題に関しては、まず架空債権請求詐欺のページをご一読ください。
大抵の問題は、それでご理解頂けると思います。

このページは平成15年10月27日に記述しました。

 


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