電子署名・電子認証シンポジウム
7月1日と2日に弁護士会館(霞ヶ関)にて開催された電子署名・電子認証シンポジウムに参加してきました。(詳細は下記URLをご参照下さい。)
http://www.ddtf.jp/
以前のコラムで、行政効率向上の手段として、自治体の広域合併と電子申請システムの推進がセットで進行しているという事について書きました。その電子申請システムは、どの程度現実のものになっているか確認したいという思いと、その変化が行政と国民にどういう影響をもたらすのか考えてみたいという問題意識がありました。
電子申請(=電子自治体)に対するイメージとしては、自宅にいながら主要な手続きはオンラインにて実現できる。しかも各種申請の受付は24時間365日OKである。漠然とそんな想像をしています。
電子署名や電子認証は、そのような電子自治体を構築する一歩手前の技術的問題で、オンラインでの申請者が本物であるかどうか、インターネットに溢れる偽情報からいかに本物の情報を守るか、そういう根本的な命題について検証していく必要があります。
私達が普通にインターネットを利用していて、ネットショッピングやメール交換は一般的な出来事になってきました。しかし、インターネットでの買い物には、多少は警戒心がつきまとうと思います。
それは商品を手にとって見ることが出来ないという事もありますが、それ以上にインターネットでの取引方法に危うさを感じるからではないでしょうか?。
つまり、注文した商品がちゃんと送られてくるか、それ以前にホームページの運営者は実在する会社なのか?。そんな不安があると、大きな金額の買い物は出来ません。また、行政への手続きも重大な権利が伴うことは役所の窓口まで出向かないと安心できないかもしれません。
では、インターネットで誰もが信用できるシステムを作るにはどうすればいいのでしょうか?。
その疑問に対する解答の一つが電子署名や電子認証です。インターネットでの取引時に、自分と相手の情報を信頼できる機関から証明されれば、ビジネスや行政運営のスピード感が増すのは簡単に想像できます。
シンポジウムでは、電子署名に登録する情報はどれだけの内容が必要なのか、また変転する経済状況の中で倒産した会社の情報など、その鮮度をどうやって保つのかなど、次々と疑問や解答例が提示されました。
先行して電子申請が進む建設CALS/ECの分野では、帝国データバンク社が持つ膨大なデータベースを連動させて、信頼性の高いリアルタイムの所属情報を提供するサービスを始めるそうです。
このような民間と公共のサービスの融合は、大きな可能性を感じさせます。
また、契約書のオンライン手続きによる契約実務のスピードアップ などのソリューションも各種提示されていました。
法整備の面では、電子署名法などが施行されましたが、これは個人間の取引を前提としており、行政に対する契約や企業間の契約などは想定されていないようです。
このあたりの課題についても問題点が指摘されていました。
それでは、私は行政書士として今後の電子申請時代にどう向かっていくかですが、電子申請を先取りしてお客様である申請者の利益拡大に貢献しつつ、新たに派生する技術的諸問題について様々な質問に対応できるよう、法務とITの両方の知識を研鑚していかねばならないと考えております。
2003年7月3日 遠山桂
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