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特定商取引法の一部改正

特定商取引法の改正について(平成16年11月11日施行)

特定商取引法は、クーリングオフや中途解約について定めた大切な法律です。
この特定商取引法が、平成16年11月11日に改正され、施行となります。
今回の改正では、クーリングオフ妨害があった場合のクーリングオフ期限延長や、販売目的を隠して勧誘を行うことを明確に禁止するなど、消費者の保護が手厚くなりました。
その法改正のポイントを記載します。
なお、法改正による保護が受けられるのは、平成16年11月11日以降に締結した契約となります。

今回改正される特定商取引法の主要点

解約のルール強化

悪徳商法への行政規制強化

特定商取引法改正の概要

クーリングオフ妨害があった場合は、クーリングオフ期間を延長。

特定商取引法では、連鎖販売取引(マルチ商法等)と業務提供誘引販売取引(内職商法)のクーリングオフ期間が20日間と定められ、それ以外の販売形態は8日間のクーリングオフ期間となっています。


今回の法改正では、クーリングオフ妨害があった場合は、クーリングオフ期間経過後でもクーリングオフができるようになります。
クーリングオフ妨害とは、以下のようなケースが該当します。

「この契約はクーリングオフできない」「あなたの場合はクーリングオフできない」と虚偽の情報によりクーリングオフを妨げられた。(不実告知)
「クーリングオフしたら許さない」「クーリングオフなんて受け付けない」等と脅された。(威迫行為)

このようなクーリングオフ妨害があった場合は、クーリングオフ期間が過ぎた後でも、クーリングオフによる契約解除が可能となります。
但し、業者がクーリングオフ妨害を認める書面(特商法で指定された様式の物)を交付した場合は、その書面の交付から数えて所定のクーリングオフ期間(20日間や8日間)が経過すると、クーリングオフはできなくなります。

不実告知があった場合は、契約取消が可能に。

従来も「商品の説明に明白なウソをつく」など、こうした行為は重要事項の不実告知といって禁止されていました。しかし、不実告知があった契約でも、契約自体は有効となり、民法や消費者契約法を根拠に解約交渉をしなくてはなりませんでした。

今回の法改正では、不実告知があった場合は、契約を取消できるようになります。
消費者契約法では取消できない「契約を結ぶ動機となる事項」も不実告知の対象となるので、消費者保護は手厚くなります。
但し、不実告知があった事実は、消費者が立証しなくてはなりません。
不実告知を根拠とした契約取消主張は、不実告知を知った時から6ヶ月以内に行わないと時効により消滅します。また、契約から5年が経過しても、時効により消滅します。

連鎖販売取引の中途解約をルール化

ネットワークビジネスやマルチ商法は、ビジネスに不慣れな消費者をリスクの高い商行為に勧誘するものです。
今回の法改正では、こうした連鎖販売取引について、中途解約ができるよう定めました。
連鎖販売契約はいつでも退会できますが、以下の条件にあてはまる場合は、一定額の返金を得られます。

  1. 入会後1年未満
  2. 受領して90日未満の商品
  3. 商品を再販売していないこと
  4. 商品を使用又は消費していないこと
  5. 商品を棄損していないこと

この条件に全てあてはまる場合は、購入価格の90%相当額の返金が得られます。
また、購入元が無資力の場合は、販売会社に対して返金請求ができます。

連鎖販売取引にもクレジット抗弁権。

クレジット契約の場合、消費者と販売会社の間で解約交渉などのトラブルが生じた場合、争いが解決するまでクレジット会社に支払いを拒否できる権利がクレジット抗弁権です。
従来は連鎖販売取引(マルチ商法)に関しては、クレジット抗弁権が認められていませんでした。
今回の法改正で連鎖販売取引(マルチ商法)にも、クレジット抗弁権が認められるようになりました。

販売目的の明示を義務化。

従来も訪問販売業者が、販売目的を隠して消費者に接近するのは禁止されていました。
今回の法改正では、「勧誘行為を始める前に、販売するのが目的であること」を明らかにする事を義務づけしました。
この「販売目的の隠匿」を行った業者は、改善命令や業務停止命令の対象となります。

不実告知の内容を明確化

重要事項の不実告知は従来から禁止されていますが、何が重要事項にあたるか曖昧でした。今回の法改正で重要事項について明確化されます。
以下が重要事項です。

  • 商品の性能や種類
  • 販売価格
  • 対価の支払時期や支払方法
  • クーリングオフの告知
  • 消費者が契約を結ぶ事になった動機
  • 消費者の判断に影響を及ぼす重要なこと

これらについて、虚偽の情報を教えたり、消費者に除法を伝えなかったりした場合は、不実告知や不告知となり、禁止されます。

重要事項の不告知に罰則設定

前項の重要事項を故意に消費者に告げない場合(不告知)には、2年以下の懲役又は300万円以下の罰金(又はそれらの併科)の対象となります。
従来も禁止されていましたが、罰則が設定されることで、より厳格になります。

販売目的を隠して公衆の出入りしない場所に誘い込む勧誘は禁止。

キャッチセールス等で、消費者を人目につかない場所に同行させ、密室で心理的圧迫を与えて契約をさせる事が禁止となります。

行政庁が業者に合理的根拠を示す資料提出を請求できる。

虚偽や誇大な広告や勧誘をする業者には、監督官庁が性能や効果に関する証拠を提出するように請求できるようになります。
違反があれば、監督官庁は行政処分が可能となります。

行政庁の立入検査対象拡大

悪質な販売を行う業者への立入検査が、内職商法の内職斡旋会社や、マルチ商法の商品販売業者にまで拡大されます。

 


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